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Column

03 住宅とファッション

 

 五、六年程前からであろうか。既刊の建築や住宅誌の売れ行きが落ち込んでいる。変わりに、「カーサブルータス」「Memo」「マンスリーm」など、住宅をコンセプトやデザインの面からとらえている雑誌が好調だ。特に、男性誌の延長線上にあるのも興味を引く。既存の住宅誌にはない「生き方を反映したローコスト住宅」とか、住み手の人生観までも問い掛けている内容がおもしろい。

 ファッション界では、シーズンに先駆けてコレクションの発表があるが、時代背景の分析や人々の興味を引く対象の研究など、明らかに建築や住宅デザインにも影響を与えている。 エスニックファッションが流行した後は、住宅にも一大アジアンブームが訪れた。昨年終わりごろ、長くパリファッション界に君臨してきたイブサンローラン氏が引退した。あの華麗なスタイルの一時代が幕を閉じ、新しいムーブメントの予兆は既に始まっている。

 今、若者たちはあまり物を持とうとしない。大量消費の時代が終わり質実を優先とするミニマリズムが台頭してきた。数少ない家具や物は「セレクト」したものしか置かない主義だそうだ。「ジベタリアン」などと街中ではひんしゅくを買っているが、その若者たちの動向が新たな和風回帰を呼び起こしている。ストリートファッションが住宅や建築にも影響を与えている例である。 既存の建築雑誌や建築会社がおろおろしているらしい。   

 
自分の好みやデザインを優先し住宅を造るのは欧米では既に当然の流れだが、やっと日本もそういう時代に入ったのか。単なる流行で終わらせない為にも、自分の住まいぐらい、適性に選べる評価基準を持ちたいものだ。                                

(菅原 律子、菅原律子設計事務所代表)


2002/02/23(琉球新報掲載分)

 

 
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